「30代になり白髪が増えてきた感じがする」という方は多いのではないでしょうか。平均的に女性は35歳ごろから白髪や髪のハリ、ツヤ、ボリュームに悩みが増え始める髪の曲がり角に当たる年齢です。そこで今回は白髪をできれば目立たせなくない、これ以上増やしたくないという方に、白髪の原因や目立たせなくする方法、対策についてご紹介します。
白髪ができる仕組み
白髪を対策するには、白髪がどうしてできるのか仕組みを把握しておくことが重要です。
人間の髪の毛にはメラニン色素という色素によって色が決まります。髪の毛が黒いのはメラニン色素がきちんと生成されて髪の毛に行き渡っているからなのです。
白髪の場合、メラニン色素の生成がきちんと行われていない、もしくは髪の毛にメラニン色素が行き渡っていない状態というわけです。
メラニン色素が生成されない、髪の毛にメラニン色素が行き渡らないのは以下が原因と考えられます。
- メラニン色素を作る細胞である「メラノサイト」の機能低下
- 血流が悪くなっており「メラノサイト」まで栄養が行き届かないため、メラニン色素が生成されない
- メラニン色素を作るための栄養が十分でない
主に考えられる原因は上記にあたります。しかし、説明だけでは分かりづらいところもあるため、日常生活における白髪の原因について解説します。
ストレス
昔から苦労すると白髪が増えるといわれていますが、過度なストレスは活性酸素を増やし、血液の流れが悪くなってしまいます。すると、メラノサイトまで栄養が行き届かなくなり、白髪が生えてしまうのです。さらにストレスによって睡眠の質が落ちてしまい、昼間に浴びた頭皮へのダメージが修復されにくくなります。ストレスはこまめに解消することが大切です。
妊娠・出産
妊娠や出産（授乳）は胎児に栄養が必要であることから、母親は必要な栄養が不足しがちです。特に白髪の原因・防止に効果のある栄養素は、妊娠時に多く必要になります。また、妊娠による体の変化、出産後のなれない育児から、ストレスを増やしてしまい、これが白髪の原因になることも。
栄養不足
メラニン色素はチロシンという栄養素から作られるため、不足するとメラニン色素が生成されません。チロシンはアミノ酸の一種で乳製品や大豆に多く含まれる栄養素です。さらにチロシンを合成するのにフェニルアラニンという栄養素も必須で、体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。肉や牛乳、チーズなどを積極的に摂るようにしましょう。他にもビタミンB群や銅などのミネラルを含んだ食品をバランスよく摂取することも大事です。
喫煙
タバコを吸うと、ニコチンの血管縮小作用と一酸化炭素の影響により頭皮の血行が妨げられ、髪に栄養が行き届かなくなってしまいます。結果、白髪や薄毛、脱毛の原因となります。さらに頭皮の毛細血管を頻繁に締め付けるため、髪にくせが生じやすくなり、ツヤもなくなってしまうのです。
紫外線
大量の紫外線が髪に当たると、髪の内部のメラニン色素を破壊してしまいます。真夏に一日中外にいると髪の毛が茶色に変色しますが、これは紫外線によってメラニン色素が破壊されたことにより起こる現象です。
紫外線は細胞にも到達するため、毛根が傷つき白髪となる場合もあります。メラノサイトにダメージを受けると髪に色をつけられなくなるのです。
過酸化水素
多くのヘアカラーには過酸化水素が含まれています。過酸化水素は漂白効果があるので、髪の色を明るくし、染料を髪の毛に定着する働きがあるのです。また、過酸化水素は体内で生成される物質でもあるため、体内に蓄積されるとあらゆる細胞が酸化させ、髪の毛だと白髪へ変化させてしまいます。
白髪を食い止めるには
現代の女性は不規則な生活や頻繁なカラーやパーマによって頭皮へのダメージが大きくなりがちです。白髪を防ぐための対策についてご紹介します。
白髪は初期段階のケアが大切
一言で白髪といっても、完全に真っ白な状態、根本は白く毛先は黒い状態、シマウマのように白黒が交互になった状態などがあります。白髪はいきなり真っ白になるものではなく、段々白髪へ移行していくくのです。そのため完全に白髪へ移行する前の初期段階でのケアが大切になります。
初期段階の白髪の多くは、毛根だけは黒いという状態が多いそうです。つまり、メラニン色素自体は作られていることになります。メラニン色素は髪の毛を作る毛母細胞まで運ばれる輸送段階を経て、黒髪へと育っていくのですが、白髪の初期段階というのは、輸送段階が上手くいっていない状態といえるのです。
さらにそこから研究が進み、白髪の初期段階では、メラニン色素の輸送にかかわるメラノフィリンという遺伝子の発現量が低下していることがわかりました。このメラノフィリンの発現を向上せさせる成分（葛根エキス、カモミラエキス、タイムエキス）でケアをした結果、白髪が目立たなくなったそうです。
参考記事：白髪には早めの頭皮ケアが有効？！ ～ミルボンが徹底研究する白髪のひみつ～ | Find Your Beauty MAGAZINE(https://www.milbon.co.jp/fyb-magazine/shiraga-2/)
食事の改善
白髪を予防したいなら、大前提としてバランスの良い食事が大切です。なかでも積極に摂りたいのがタンパク質と鉄分・亜鉛などのミネラル、ビタミンになります。
タンパク質は髪の毛を作るケラチンを生成する栄養素。現代人は糖質（炭水化物）に偏り、タンパク質が不足しがちです。肉や魚、卵などの動物性タンパク質と大豆などの植物性タンパク質をバランスよく摂りましょう。
ミネラルは髪に色素を送るために必要な栄養素です。亜鉛は髪の発育を促し、カキやハマグリといった貝類、牛肉、チーズなどに多く含まれます。鉄分は赤身肉やカツオやマグロなどの魚に含まれるヘム鉄と、ひじきやほうれん草に含まれる非ヘム鉄があり、吸収率が高いのはヘム鉄のほうです。ミネラルは不足しがちなため、サプリメントを活用して積極的に摂るといいでしょう。
抗酸化作用のあるビタミンCや代謝をよくするビタミンB群なども白髪対策に必要な栄養素です。ビタミンCは緑黄色野菜や果物、ビタミンB群は肉類や魚介類、豆類などに多く含まれています。
良質な睡眠をとる
良質な睡眠をとることも大切です。睡眠不足や睡眠の質が悪い場合、血行不良や自律神経の乱れが起きやすくなります。血行が悪くなると白髪のリスクが高まり、自律神経の乱れは血管が収縮し血流が悪くなります。
スマホやパソコンから出るブルーライトは良質な睡眠の妨げとなるので、白髪が気になるのなら寝る前の操作は控えましょう。また、毎朝できるだけ同じ時間に起きることも大切です。朝日を浴びることで体のリズムが整い、良質な睡眠につながります。
マッサージで栄養が届きやすくする
指の腹や手のひらを使い、頭皮全体をじんわりともみほぐします。力の目安は心地よさを感じる程度で、強く押すのはNGです。凝り固まっていると感じる部分は入念にマッサージするといいでしょう。時間は頭皮がやわらかくなったと感じるまでを目安としてください。最後に地肌を持ち上げるように頭皮を引き上げます。血行を改善することで、頭部だけではなく顔や肩周りも暖まったと感じられるでしょう。
紫外線から頭皮を守る
頭皮へダメージを与える紫外線はできるだけ浴びないようにしましょう。出かける前やスタイリングの後、髪から10～15cm離しUVスプレーを。
ヘアスタイルを崩さず、ベタつきがなくサラッと仕上がります。肌と髪兼用のものを1つ持っておくと、出先でも簡単に塗りなおせます。
帽子や日傘も活用しましょう。帽子は薄めの色で通気性がよくツバの広いものがおすすめです。
適度な運動
運動は代謝や血流の改善、ストレス解消、睡眠の質向上につながり、髪の毛を作る成長ホルモンが放出されるので、髪にもよい影響を与えてくれます。運動は息が上がるほど激しい必要はありません。運動が苦手であればウォーキングから始めてみましょう。
白髪を目立たせなくするためには
白髪のケアや対策方法には、即効性はありません。今すぐ白髪をどうにかしたいのなら、白髪染めやカラーリングなど、目立たせなくする方法があります。
カラーリングする
白髪を目立たなくするには白髪染めがありますが、数本しか白髪がないのであれば、カラーリングで目立たせなくする方法があります。例えば全体の髪の毛を明るくすることで、白髪が目立ちにくくなります。白髪が気になる部分はハイライト入れるといいでしょう。
白髪染めを使う
白髪をしっかり染めるなら白髪染めが確実です。市販品もありますが、自分でやるとムラになりやすいのでサロンをおすすめします。
カラーリングや白髪染めのサロンと自宅の違い
サロンで受けるカラーリングや白髪染めと自宅で自分で行う場合の大きな違いは、髪へのダメージです。しかし、サロンで使用されるカラー剤と市販されているカラー剤の成分に大きな違いはありません。ただし、サロンで染める場合、髪へのダメージ加減によって薬剤を選べたり、伸びてきた部分の根本だけを染めるリタッチなどを行ってくれたりと、ダメージを最小限に抑えてくれます。
白髪を抜いてもいいの？
白髪は抜くと増えるという話を聞いたことがあると思いますが、科学的な根拠はありません。しかし、白髪を抜くときに強い力が加わることで毛根へダメージを与えてしまい、最悪生えなくなってしまう恐れもあるので、避けたほうがいいでしょう。生えてきても白髪の可能性が高いため、目につくのなら、切ってしまうことをおすすめします。
ある時、見つけてしまった白髪、よく見るとあちらこちらに白髪が。老けた印象を与えてしまうので、本数が少ないうちに何とかしておきたいところです。白髪は年齢や遺伝だと思って仕方ないと思いがちですが、正しいケアで黒髪を取り戻しましょう。日常生活において規則正しい生活を送り、バランスの良い食事をとることでストレス対策になります。
すぐに効果を出すのは難しいので根気強く続けていくことが大切ですよ。